今回はこちら。
夢枕獏
夢枕獏さんの「秘伝「書く」技術」(知のトレッキング叢書)。
アイデアの出し方、文章を上達させる訓練、タイトルの付け方などなど、自身の経験からあみだした実践的技術が満載で、どの項目もおもしろいのです。

ノートではなくカード!

 

さて、夢枕さんは小説のアイデアを思いついたら、名刺サイズより少し大きめのカードに書いているそうです。一つのカードに書くのは一つのアイデアまで。
そして、書き始める段階になってこの「アイデアカード」を見返します。

『まずやることは、カードの順番を付けることです。一つ一つの場面のアイデアは脈絡なく書いたものなのに、「このカードは、このカードより先だな」と、なぜか順序が決まっていく。要らないものももちろんあって、そうしたカードは横に除けながら、カードの順序を決めていく。頭のなかでなく、目に見えるカードにしてあると、これが上手にできる。決まったものを見るとあら不思議、ストーリーになっているんですね。
とはいえ、カードを並べただけではストーリーとしては不十分な隙間が存在することが多々あります。今度はそこの手当てをしていく。そうやって、少しずつ少しずつ、ストーリーを固めていくのです。』

カードを並べながら、組み合わせを考えてみる。

何だか、ゲームのようです。

過去の自分がつくったアイデア同士を組み合わせれば、思いがけない設定が誕生することもありえそう。
いざ「書くぞ」とパソコンを開いても、ゼロの状態からは何も生まれません。
やはり大切なのは準備。未来の自分のために、コツコツと石を積んでいくイメージなのかな。

書くしかない。

 

ちなみに、夢枕さんが小説を「書かない日」というのは基本的にないそうです。
したがって、「よし、書くぞ」とわざわざ気合を入れて書くこともない。「書くこと」が習慣になっているのです。

『「やる気」があるから「やる」のではなく、「やる」から「やる気」が出てくる。』

やる気がわかないから今日は無理だなあと勝手に諦めていた私、ドキッとしました。
法坂さんもインタビューで「とにかく書いてみる」とおっしゃっています。
ひとつの作品をつくりあげるうえで、この姿勢は重要なのですね、やはり……。