月に最低でも1冊は物語や小説の作り方に関する本を読もうと決めています。
できるだけ色々な切り口を知っておきたいと、目についたものは片っ端から読むようにしているのですが多くの本に共通しているのは「小説は誰にでも書ける」と書かれていること。
この「2週間で小説を書く!」も、そうでした。
著者は「高校生のための文章読本」で知られる清水良典さん。
本書は大きく
1章 小説の入り口(1~5日目)
2章 小説の中身(6~9日目)
3章 小説の出発(10~14日目)
と振り分けられています。
2週間で書籍1冊分の作品を作れるようになる本かというとそうではなく、
書籍1冊分の作品を作れる「基礎」や「知識」を2週間で身につけるという内容で、実戦練習が14日分あります。
第1章、1~5日目の実践練習はこちら。
1日目
数人で数行ずつリレー形式の小説を書いてみる。
2日目
文章の断片を用意して、その断片の文章をまるごと含めるか、あるいはそこから発想を広げて別の文章にする。
3日目
最初の記憶を書く。
4日目
三種類の音楽を用意し、それらをBGMとしてストーリーや場面を書く。
5日目
一人称の「私」を用いて普通に文章を書いてみる。書く内容としては、読んだ本の感想のような文章は避ける。次に、三人称の「彼(彼女)」に変えて、書き改める。最後に再び「私」に戻して読み返す。
実際に、私もやっていきたいと思います。
1日目は仲間がいないとできないので、とりあえず置いておき……、2日目から。
本に載っていた題材をベースにしてみます。
ある日曜の朝早くにスタントン通りを歩いていると、何メートルか先に一羽の鶏が見えた。私の方が歩みが速かったので、じきに追いついていった。十八番街も近くなってきたころには、鶏のすぐうしろまで来ていた。十八番街で、鶏は南に曲がった。角から四軒目の家まで来ると、私道に入っていき、玄関前の階段をぴょんぴょん上がって、金属の防風ドアをくちばしで鋭く叩いた。やや間があって、ドアが開き、鶏は中に入っていった。(ポール・オースター編『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』柴田元幸他訳)
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鶏だ。
確かに、鶏なのだ。
「牛乳を買ってきて」
と母に頼まれて、寝ぐせそのまま、眠い目をこすって歩いている俺の先に、ヤツはいた。幻ではない。気付けば吸い寄せられるようにあとをつけていた。追い越さないように、しかし姿を見失わないように、適度な距離を保ちながら歩くたびに揺れる尻を追いかける。
ふと、もしも目的地が一緒で、こいつも同じく買い物に行っているのだとしたら――?そんなことを考えた。小説のネタに使えそうだ、と思ったのだ。3年連続でかすりもしない賞に、またも応募をしようと考えているのだ、俺は。今朝も「いい加減、夢を追いかけるのはやめて現実を見たらどうなの」と母から溜息をつかれたばかりだ。だから、牛乳くらい文句を言わずに買いに行かなければならないのだ、俺は。
しかし、鶏は南に曲がった。スーパーとは反対だ。思わず追いかけそうになる。
「って、たかが鶏に何やってるんだ」
正気になれ、といわんばかりに頭を思いっきり掻きむしり、本来の使命を果たすべく踵を返す。
「いや、でも……」
好奇心のほうが勝り、またもあの尻を追いかけてしまった。するとヤツは角から四軒目の家まで来ると、私道に入っていき、玄関前の階段をぴょんぴょん上がって、金属の防風ドアをくちばしで鋭く叩いた。やや間があって、ドアが開く。
「あ、ちょっと……!」
家の中の様子をなんとかして見ることができないか、必死だった。今思えば、何かにとりつかれていたのかもしれない。でも、あの鶏には「何か」がある気がしてならなかったのだ。
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こんな感じでしょうか。
清水さんがこのワークで何を伝えたいか。それは「とにかくまずは本を読め」ということではないかと思います。本書の中でも「その人が書けるレベルは、読んだ経験のレベルとほぼ等しいのである」と断言されています。
自分の読んでいた小説を真似て書き出すので、どんな小説を読んでいたかが、書くときの素地となるそうです。だからこそ、たくさんの本に出会い、影響を受けたほうが良い、ということ。
思えば「好んで読む小説」はわりと似通っている気がします。
あえて自分の好みとは違うジャンルに手を出してみるのも、小説を書く技術を習得するためには大切なのですね。私は海外文学に疎いので、この機会に読んでみようかなあ。
次回は3日目の実戦練習結果を発表します!