「小説は誰にでも書ける」は本当なのか。

そんな疑問からスタートしている「物語る力」。

 

これまでに

〇カードを使ったプロットの作り方

〇盗作によるプロットの作り方

〇アイデアの生み出し方

について考察しました。

 

今回は、原点に戻って「小説家とは?」について考えてみたいと思います。

とりあげるのはこちら。

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小説家志望の人々に対して創作に対する考え方を伝授するだけでなく、本格的な添削と指導もしている、いわば「小説の教科書」のような一冊です。

その中で大沢氏は「できるだけ偏差値の高い新人賞からデビューすることを目指しましょう」と書いています。競争率は当然高くなりますが、そこからデビューすれば箔がつき、他社の編集者からも注目されるというのです。それに、「●●賞受賞」と帯に書かれるだけで書店では目をひきます。

ここでいう「偏差値の高い」とは、ベストセラー作家をどれだけ多くだしているか。まず「小説家になりたい」と思ったらどの賞を狙うか考えよ、というわけですね。

大沢氏はとにかく「選ばれる作家にならなければ小説家として生きていけない」ということを説いているのですが、中でも印象的な言葉があったので一部抜粋します。

 

「当時に比べて今の出版市場は三分の一くらいに縮小しています。つまり、生き残る確率も三分の一、入るお金も三分の一、そういう時代に皆さんは作家になる選択をされるのだということを肝に銘じておいてください。(中略)読者やファンというのはいつも応援してくれる温かい存在だと思うかもしれませんが、実は会ったことも見たこともない人たちであり、流行や気持ちの変化ですぐに離れてしまう冷たい面があるのです。(中略)熱烈なファンであっても、単行本一冊を買うために昼ご飯を二回抜かなければいけない人だっています。そこまでしてでも買いたい、読みたいと思ってもらえるような作家にならなければいけないということなんです。」

 

作家になるために大切なもの

 

稼げる作家になるには、偏差値の高い新人賞を狙い、名前を知ってもらうことがスタート。はい、それはわかりましたが、どうすれば「稼げる小説」が書けるようになるのか。

ポイントは4つあるといいます。

 

①正確な言葉を使う

辞書をいつも手元に置いて、少しでも怪しいなと思ったら辞書を引く。自分の日本語力を疑うべし。

②自分の原稿を読み返す

ぎりぎりまでアイデアをひねってバタバタと書き上げるより、締め切り前に書き終えて最後の一日を推敲にあてるほうが作品の完成度は確実にあがります。できれば時間をあけて読むことが望ましい。

③毎日書く

稼げる作家になるには、作品を多く生み出すことも大切です。そのためには原稿を早く仕上げなければなりません。毎日必ず決まった分量を書く習慣を身につけることも、大事なのです。事実、大沢氏は少なくとも10枚、多いときは20枚書き、そして翌日書いたものを読み直して手を加え、チェックをするというのをほぼ毎日繰り返すそうです。

④手放す勇気を持つ

どうしても筆が進まないときには、思い切って離れましょう。「これはここまででいったん終わろう」と決めて違う作品に向かう勇気もときには必要。とにかく、前に進むしかないのです。

 

「あれ?」と思った人もいるのではないでしょうか。

この4つのポイントって、作家云々よりも前に「プロのライター」として絶対に欠かせないものなのです。おそらくいずれ「書く力」で語られるでしょう。

どんなにいいアイデアを思いついたとしても、これらができていなければ「プロ」とは言えません。

 

「小説家として食べていきたい」。

そう思うなら、まずはこの4つを意識してみましょう。