「物語の体操」や「ストーリーメーカー」ほか、様々な物語理論の本で名前を見かけるロシアの昔話研究家、ウラジミール・プロップ。彼は、魔法民話と呼ばれるジャンルに属する昔話を科学的に分類しようとしたところ、そこにはたったひとつの構造しかないことを発見しました。
そして、キャラクターの名前や外見にとらわれず、物語の進行に果たす作用のことを「機能」と呼び、このような機能が「31個」あると結論づけています。
昔話の構造31の機能分類とは?
こちらがその31の機能です。
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1 家族の一人が家を留守にする(不在)
2 主人公にあることを禁じる(禁止)
3 禁が破られる(侵犯)
4敵が探りをいれる(探りだし)
5 敵が犠牲者について知る(漏洩)
6 敵は犠牲者またはその持ち物を入手するために、相手をだまそうとする(悪計)
7 犠牲者はだまされて、相手に力を貸してしまう(幇助)
8 敵が家族のひとりに、害や損失をもたらす(敵対行為)
9 不幸または不足が知られ、主人公は頼まれるか、命じられて、派遣される(仲介・連結の契機)
10 探索者が反作用に合意もしくはこれに踏み切る(始まった反作用)
11 主人公は家を後にする(出発)
12 主人公は試練をうけ、魔法の手段または助手を授けられる(寄与者の第一の機能)
13 主人公は将来の寄与者の行為に反応(主人公の反応)
14 魔法の手段を主人公は手に入れる(調達)
15 主人公が探しているもののある場所に、運ばれ、つれて行かれる(二つの王国間の広がりのある転置、道案内)
16 主人公とその敵が直接に戦いに入る(戦い)
17 主人公が狙われる(照準)
18 敵が勝つ(敵の勝利)
19 初めの不幸または欠落がとりのぞかれる(不幸または欠落の除去)
20 主人公は帰還する(帰還)
21 主人公は迫害や追跡をうける(迫害、追跡)
22 主人公は追跡者から救われる(救い)
23 主人公は、気付かれずに家または他国に到着する(気付かれない到着)
24 偽の主人公が、根拠のないみせかけをする(根拠のないみせかけ)
25 主人公に難題を課す(難題)
26 難題が解かれる(解決)
27 主人公が気付かれる(判別)
28 偽の主人公や敵、加害者が暴露される(暴露)
29 主人公に新たな姿が与えられる(姿の変更)
30 敵が罰される(罰)
31 主人公は結婚し、即位する(結婚もしくは即位のみ)
この中でもプロップは8番目の「加害あるいは欠如」そして19番の「加害あるいは欠如の回復」が物語をつくるうえで最も重要だといっています。欠如を回復させるために冒険に「行き」、そして「帰ってくる」。つまり、やはり帰着するのは「行って帰ってくる物語」なのだということを実感しました。
この「31の機能分類」は、様々なハリウッド作品でも使われています。実は、かの名作「スター・ウォーズ」にもぴしゃりと当てはまるのだそうです。こちらで「エピソード4」を参考に紐解いているのでぜひご覧ください。
……そんな私は実は一度も「スター・ウォーズ」を観たことがありません。
物語理論を学ぶうえでこの作品は非常に参考になるようなので、まずは観るところから始めます……。